おトクな外貨両替は?ドルやユーロなら外貨預金+デビッドカードがおすすめ

少し落ち着いたとはいえ、引き続き円安傾向が続いています。航空券など海外旅行のコストも上がっている中、旅先で食事や買物をする際に日本円に換算し、「高っ!」と驚くことも増えているのではないでしょうか。

そんな中、少しでもお得に外貨を使う方法として、個人的におすすめの「外貨預金+デビットカード」についてご紹介します。

目次

クレジットカードと現金の課題を解決

海外での支払いといえば、クレジットカードをメインにしている方が多いのではないかと思います。ただ、ここ最近多くのカード会社が海外利用の手数料を値上げし、昔は1%台だった手数料が、今では2~3%台後半まで上がっています。3%台後半というと、ドル円が145円だったとして、150円超えるくらいの為替レートになります。
手数料の安い両替所があれば現金の方が得、というパターンもあるかもしれませんが、海外で多額の現金を持ち歩くのもリスクです。

こういった課題を解決できるのが、デビットカードです。重要なポイントは、日本円の口座からではなく、外貨の口座から直接引き落とされるデビットカードを使う点になります。

外貨預金からの引き落としでおトクに!

ネットバンクを中心に、外貨預金のサービスを提供している銀行は、すでに一般的です。特に、ソニー銀行は外貨系のサービスが充実していて、海外でデビットカードを使うと、外貨預金から直接引き落とされるサービスがあります。

使った金額分のみ引き落とされますので、クレジットカードで2~3%台かかってしまう事務手数料の心配が要りません。すべての通貨で使えるわけではありませんが、ドルやユーロといった主要通貨においては、現金の両替、クレジットカードの利用に比べて、手数料を低くすることができます。
住信SBIネット銀行でも、米ドルにおいてはキャッシュバックによる手数料無料のサービスを提供していますので、ソニー銀行と遜色ないかと思います。

デビットカード = キャッシュカード & クレジットカード

ソニー銀行と住信SBIネット銀行のデビットカードは、銀行口座のキャッシュカードでもあります。同じカードに、VISA、Masterなどの国際ブランドの加盟店で、デビットカードとして使える機能がありますので、感覚的にはキャッシュカード兼クレジットカード(実際にはデビットカード)のような役割です。

クレジットカードのように使えますので、早めに外貨を入金しておけば、旅行の準備段階でも活用できます。国内線の航空券、都市間を移動する電車、現地発のツアーなど、比較的高額になる決済も、ネット予約で事前にデビットカードで支払えば、現地で購入する手間も省けて効率的です。美術館やミュージカルなどのチケットも、現地で窓口に並ぶよりネット予約が断然便利です。

デビットカードは、一部サブスクリプションサービスなどでは支払いに使えないこともありますが、基本的には各国際ブランドの加盟店であれば、問題なく利用できます。

準備と手数料

準備を含めた海外での使い方について、詳細は各銀行のサービスサイトに詳しく説明されていますが、”デビットカードがおトク”といえるいくつかのポイントを具体的にご紹介します。

外貨入金:為替手数料

まず、外貨預金から直接引き落とすには、口座を開設して、外貨を入金しておく必要があります。デビットカードですので、口座の残額の範囲で、買い物などに使うことができます。別の金融機関から直接外貨で送金しない限りは、通常日本円から両替することになりますが、この際の為替手数料が安いことが、デビットカードでの決済をおトクにする大きなポイントです。

通貨によって異なりますが、米ドルの場合、ソニー銀行は4~15銭(優遇プログラムで上位のステータスだと低くなる仕組み)、住信SBIネット銀行は6銭です。両替した外貨を再び日本円に戻すこともあり得ますので、為替手数料が低いことはとても重要です。

ドル円が150円だった場合、ドルを購入する際のレートは150.04~150.15円となり、先ほどのクレジットカードの例よりも遥かに低いです。この手数料が片道25銭などの銀行は、150.25円となってしまい、おトク度が落ちます!

カード利用時:事務手数料/ATM手数料

つづいて、利用する際の手数料を見てみましょう。ソニー銀行ではVISA加盟店でのショッピングを現地通貨で行う場合は無料、住信SBIネット銀行では2.5%の手数料がかかるものの、米ドルにおいては年間30回分がキャッシュバックとなり、頻繁な利用でなければ実質無料です。

また、外貨を海外のATMから直接引き出すこともできます。この際の手数料は、ソニー銀行が1.79%の手数料+ATMの利用手数料、住信SBIネット銀行ではショッピングと同様に2.5%の手数料(キャッシュバック対象外)+ATMの利用手数料となります。

以前JAL Global Walletのカードを使って、アメリカで現金を下ろしたことがあり、ATM手数料は200円でした。固定額ですので、金額が大きい場合には割安となります。JAL Global Walletも、プリペイドカードとして使えて便利ですし、JAL NEOBANK(住信SBIネット銀行 JAL支店)から米ドルをチャージすることができます。ただ為替レートは全体的にあまり良くないため、米ドルから直接チャージする以外のパターンではお勧めできません。

帰国後:外貨を運用するなら預金金利も重要

準備していた外貨を使い切らなかった場合、日本円に戻すこともできますが、そのまま外貨で運用する選択もあります。少し前より下がってきたとはいえ、米ドルの金利はいまだに4%超。ゼロ金利が解除されても、キャンペーン金利でせいぜい1%の日本円に比べて、圧倒的に高い水準です。

海外旅行は抜きで、外貨預金だけ預けている方もいらっしゃるかと思います。その場合は、利用手数料は無視して、為替手数料と預金金利が銀行選びのポイントとなります。ソニー銀行、住信SBIネット銀行ともに、ドルの金利も他行と比べて高めの水準です。

金利だけ見ればSBI新生銀行も高いですが、SBI新生銀行は海外で使えるプリペイドカードのサービス、”GAICA”を2024年に終了してしまいました。2025年には海外送金サービス、”Goレミット”も終了予定ですので、外貨については預金に集中する方針なのかもしれません。

100ドルの買い物で比較すると?

各両替方法のレートの違いを具体的に比較してみましょう。ドル円が145円の時に100ドルの買い物をしたとします。事前に外貨預金に入金するタイミングと、買い物するタイミングの為替レートは実際には異なりますが、ここではすべて145円で統一して計算します。

  1. 外貨預金+デビットカード
    145円の時にドルを購入する場合、上記のように為替手数料は4~15銭ですが、ここでは例としてソニー銀行のシルバーステータスの10銭を使います。100ドルを購入するには145.1円×100=14,510円が必要です。海外での利用時には手数料不要ですので、この金額がそのまま購入金額になります。
  2. クレジットカード
    手数料1%台のクレジットカードもありますが、選択肢が限られていますので、私が持っている中で最安だったエポスカードの2.2%で計算します。145円×1.022=148.19円ですので、100ドルの買い物は14,819円となります。
    ちなみに最近一般的な3.85%で見てみると、150.58円となり、100ドルの買い物は15,058円!となります。
  3. 現金
    以前よく利用していた外貨両替ドルユーロのレートを見てみました。ざっくり4円ほど足した額がドルの購入、4円ほど引いた額が売却レートとなっているようです。そうすると145円+4円=149円となり、100ドルの買い物は14,900円です。

最も差が大きい3.85%のクレジットカードでは500円弱、現金でも400円弱の違いが出ました。1000ドル使ったとすれば10倍の差が出ますので、デビットカードのお得感が際立ちます。

このようにレートにおいては圧倒的な強みがあるデビットカードですが、注意点もあります。外貨が足りなくなった際の追加の入金(外貨の購入)は、為替市場が開いている時間でないとできません。

以前カナダに行ったとき、カナダドルに両替して食事などの支払いをしていましたが、週末にカナダドルが足りなくなってしまい、追加入金ができなかったため、クレジットカードで払う羽目になりました。余ったら円や他の通貨に戻すこともできますので、週末を挟む旅程では、余裕を持って両替しておくことをオススメします。

外貨のために銀行口座を新しく開設するのは面倒かもしれませんが、資産運用のリスク分散という観点でも外貨預金は有用ですので、海外旅行のご予定がある場合、ぜひご検討ください!

※各銀行のサービス内容、手数料などは、記事公開時点の情報を参照しています。最新情報についてはサービスサイトでご確認ください。

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