築100年を超えるような古い建物が好きで、旅行の際はその土地の歴史的建築物を探します。そんな古い建築物に、滞在して楽しめるのがヘリテージホテル。
2025年4月、ペナン島から陸路で移動してクアラルンプール、というマレーシア旅行をした際、3泊すべて別々のヘリテージホテルに泊まることができました。さまざまな文化が融合して興味深い街並みが残るマレーシア。ペナン島で2軒、イポーで1軒、宿泊したヘリテージホテルをご紹介します。
世界遺産・ジョージタウン ペナン島
ペナン島のホテル紹介の前に、その立地である世界遺産ジョージタウンについて。ペナン島のジョージタウンは古くから港町として交易で栄え、18世紀末からはイギリスの植民地となった場所。
コロニアル建築が今も多く残り、アジアとヨーロッパの文化が融合した街並みが、”マラッカ海峡の歴史都市”として2008年、マレーシア初の世界文化遺産として登録されました。”アジアの中のヨーロッパ”を旅テーマのひとつにしている私は、まさにこのジョージタウンが目的でペナン島を訪れました。
ちなみに街の名前はイギリス国王、ジョージ3世にちなんで、イギリス人総督のフランシス・ライトによって付けられたそうです。20年ほど前にワシントンD.C.のジョージタウンにも行ったことがあるのですが、こちらはジョージ2世にちなんで名付けられたそう。南米のガイアナにもジョージタウンがあるそうで、海洋国家イギリスの当時の繁栄を忍ばせます。
ペナン島はマレーシアの北側、比較的タイ寄りに位置していますが、同じ世界遺産に南側、クアラルンプールとシンガポールの間に位置するマラッカも登録されています。マラッカも19世紀にはイギリスの植民地でしたが、その前は16世紀にポルトガル、17世紀にオランダ領だった歴史があり、それぞれの時代の面影が残っている非常に面白い街並み。チャイナタウンやアンティークショップが並ぶ通りなど、東西の文化的多様性をコンパクトに楽しめる街です。
ペナンはマラッカに比べると、マレーシアの人々が普通に生活する都会という雰囲気もありつつ、ジョージタウンの西側、ペナンヒルという丘を超えると、あまり開発されていない自然が残っているエリアのようです。私は都市好きなのでジョージタウンにしか泊まりませんでしたが、リゾート旅が好きな方は海岸沿いの高級ホテルでゆっくり、という過ごし方も選べる場所かと思います。
ブルーマンション The Blue Mansion
そんなジョージタウンには、有名なヘリテージがホテルがいくつかあります。おそらく一番格式が高く有名なのが、海沿いに建つイースタン アンド オリエンタル ホテル。シンガポールのラッフルズホテルを建てたサーキーズ兄弟が、ラッフルズより前に建設したホテルだそうです。確かに見た目はよく似てる。美しい白亜の建物に泊まってみたかったですが、さすがに1泊3万超えなので控えました。
その次くらいにこのエリアで有名&人気なのが(主観)、私が宿泊したThe Blue Mansion、チョンファッツィ・マンションなのではないかと思います。この建物自体は観光スポットとして非常に有名です。もともと泊まる気はなくて、見学ツアーに参加するか、レストランで食事をしようと思っていました。

が、見学ツアーを見たところ、結構先の日程なのにすでに完売している時間も。保全のため人数をかなり限定しているようで、まさか参加できない?!と焦って空き時間を探しました。そこでホテルの方も調べると、一泊22,000円ほどで泊まれそう。
ツアーはチケット代を払い、観光用の限定されたエリアしか見られないのに、宿泊すると室内と宿泊者限定エリアも見られる。そしてツアーにも参加できます。これは、泊まるしかない!と方向転換してホテルを予約しました。


ジョージタウンのホテルは、数千円出せばいくらでも選択肢があるので、贅沢な選択ではありますが、この金額でヘリテージホテルに泊まれるのは、むしろ東南アジアだからこそできること。一人旅でこの金額なので、二人ならコスパもまったく問題ないレベルです。
チョンファッツィとは?
Cheong Fatt Tze(張弼士)は人の名前で、中国に生まれ、18世紀後半から19世紀に東南アジアや中国で活躍した実業家です。東洋のロックフェラーと呼ばれるほどのお金持ちだったそう。
ブルーマンションの見学ツアーでは、彼の人生や、8人の妻についての情報、妻たちの衣装などが展示されています。
外観&ロビー
2泊目として泊まったので、まず朝立ち寄って、荷物を預かってもらいました。観光客を受け入れている時間以外は、入口で予約のチェックがあります。11~18時までは、セルフガイドツアーの開催時間なので、敷地に多くの人がいて少し騒がしい雰囲気ですが、朝や夜は宿泊客のみなのでそこまで気になりません。




ロビーエリアは、青をアクセントにしたロビーのステンドグラスや、天井の照明など雰囲気が超ステキ。置かれている家具、壁の装飾もすべてトーンを合わせて作り込んであります。


昼の雰囲気も良いですが、夜も別の美しさが!観光客がいない中、庭を独り占めして撮影できるのはまさに宿泊客の特権です。太陽光で見るのとライトアップでは、青の雰囲気も異なります。




昼は人が多かったロビーも、夜は誰もいなくて静か。建物と一対一で向き合う感じが良いです。




着いた日は曇り空でしたが、翌日は快晴。太陽光に青がより一層映えていました。


部屋
部屋にはそれぞれ名前が付いていて、私が泊まったのはThe Liang CollectionのBataviaでした。Bataviaとは、インドネシアの首都、ジャカルタの旧称です。
貧しい客家の農家に生まれたチョンファッツィは、16歳でバタビアに渡り、水の配達や店員などの仕事からキャリアを開始。結婚相手の家族の資金援助により、ビジネスを立ち上げて拡大していったとのこと。叩き上げの実業家ですね。大富豪になり、妻の数だけ家を持っていると言われていたらしいですが(ブルーマンションもその一つ)、最後に亡くなったのは出発点となったバタビアの邸宅だったそうです。


おそらくブルーマンションの中では、お手頃な方の部屋だと思いますが、ツインで広々しています。壁には装飾用の食器が。テレビも雰囲気を壊さないように、うまく配置されています。





ジョージタウンのホテルは基本的にあまり浴槽はないようで、この部屋もシャワーのみ。ロビーに続く廊下の前には池?なのか、きっと風水的に意味がありそうな水と緑の空間。



宿泊者エリア
宿泊者限定エリアの入口にはロープが張られていて、ツアー客が入ってこないようになっています。濃い青の壁の建物は、私が泊まっていない方の棟。こちらも椅子などが置かれていて寛げそう。
あまり手が入ってなさそうな建物も、屋根のヘリに沿って美しい装飾が。プールも宿泊者限定で見ることができて、入ってないけど見に行ってみました。






宿泊者エリアにあった螺旋階段。中庭の柱なども含めて、スコットランドから運んだ鋳鉄らしいです。細かな装飾の美しさときたら。さすが東洋のロックフェラーの家!


朝食
朝食会場はロビーから見て、吹き抜けの中庭を挟んだ反対側の空間。この中庭は風水的に重要な意味を持つようです。朝食は、メインはオーダー、サラダなどは自分で取る方式。サラダの葉っぱがプランターから生えていて、自分でハサミで切り取る方式で面白かった。小菓子もありました。





バー
ブルーマンションにはいくつかレストランがありますが、私が滞在した日、ちょうどペナン島で水道管工事のための断水が行われるということで、メインのレストランは閉店すると連絡が来ていました。チェックインしたときには断水は終わっており、滞在には影響がなかったので良かったです。
レストランは価格帯が高めなので、OPENしていても行かなかったかもしれませんが、バーは行くと決めていました。夜、出歩かずにバーに来られるのも宿泊客のメリット!青を基調にした店内装飾が、これまた素敵。


お客さんは私以外に1組だけだったので、カウンターに座りインドから働きに来ているというバーテンダーとお喋り。彼のお兄さんなど、家族が何人もマレーシアで働いているそうです。お酒はせっかくなのでシグニチャーっぽいものを。普段あまり飲まないタイプの酒でした。
そして翌日、晴れてものすごく暑かったので、休憩で再度立ち寄って白ワイン。昼間は観光客で混んでました。



見学ツアー
観光客向けの見学ツアーは11時と15時半の2回。ロビーに集合して開始。中庭や2階の展示室など、周りながら説明を聞きます。チョンファッツィの8人の妻の話もしていましたが、妻が8人という時点でほぼ聞き流しモードに。刺繍の美しい洋服などは、これまたさすがお金持ちの持ち物。




そしてこのパネルを見るまで、ブルーマンションがCrazy Rich Asians(クレイジーリッチ)のロケ地だったことを知りませんでした!しかも映画のなかで最も印象的とも言える、あの麻雀の舞台とは!
帰国後ネットで映画を見返したところ、本来は入口のロビー側を背景に撮影されたようです。印象的なステンドグラスが、背景に映っていました。


ツアーは人が多くて、あまりじっくりと見られる感じでもなかったので、途中で離脱して宿泊者エリアの見学に時間をかけました。やはり、宿泊して本当に良かった!
ペナン土産
ブルーマンションはジョージタウンの繁華街からは少し外れており、周囲にお店はあまり多くありません。行く機会はなかったですが、すぐ横屋根付きの屋外型フードコートがありました。そしてその先にあるのがこちらのチョコレート屋さん。ちょうどお土産を探していたので、行ってみました。
マレーシアの有名なチョコレートブランド、Beryl’s (ベリーズと読むらしい)。10時から開いていたので、チェックアウト前に購入して部屋に戻ることもできて便利。
価格帯はマレーシアの物価から考えると、なかなかお高め。家族や親しい人のお土産には良いけど、会社のバラマキ土産という感じではない。


店内はきれいで、いろいろな種類のチョコレートが並んでいました。ブルーマンションに行かれた方は、ぜひこちらも行ってみてください!
