ウズベキスタン旅行記⑤ タジキスタン半日ツアー

タジキスタン

2024年9月のウズベキスタン4都市周遊番外編、サマルカンド発タジキスタン半日ツアーの旅行記です。サマルカンドからタジキスタン国境まで、車で1時間程度とは知りませんでした!
国境近くの街、パンジケント(パンジャケント)を目的地とする日帰りツアーは複数あり、主に”7つの湖/Seven Lakes”という景勝地まで行くものが多いのですが、自然よりは都市遺跡が好きな私は、ここには行かず2つの世界遺産を巡れる半日ツアーをViatorで予約しました。7~8時間程度とコンパクトながら、楽しかったタジキスタンツアーについてご紹介します。

目次

送迎後、国境越えは自力!

朝8時、サマルカンドのホテルにツアーのお迎えが。迎えの人は英語が喋れましたが、実際にドライバーとなったのはその人の弟さんと紹介された人。英語はほぼ通じない雰囲気ながら、運転するのみなので問題なし。国境で車から降りて、徒歩でタジキスタンに入ったあと、タジキスタンで新しいドライバー兼ガイドと合流する、と最初に説明を受けていました。

国境のタジキスタン側には、ライフルを持った警備の人々が居並び、ウズベキスタン側より遥かに厳しそうな雰囲気。そんな中スマホで写真を撮った私は、タジキスタンの警備員に怒られ、iPhoneから写真を削除させられた後、ゴミ箱もね!と念押しまでされて(というか目検でチェックされてる)、”Sorry..”と言いながら国境を通過しました。うっすら分かってたけど、国境で余分なことをしてはいけないという、今さらの学び。

タジキスタン側のガイドの名前も連絡先も分からず、何十台も車が並んでいたので不安もありましたが、タジキスタン国境で”日本人女2人”という属性の人間は我々以外誰もおらず、こちらが探さなくてもガイドさんがすぐに見つけてくれました!

突如車の前に現れた羊の群れ。国境付近でも人間より羊の数の方が多かったタジキスタン

タジキスタン初の世界遺産、サラズム:原始都市遺跡

最初に観光したのは、2010年にタジキスタン初の世界遺産となった“サラズム:原始都市遺跡(Proto-urban site of Sarazm)”。山の中の平野に突如現れた遺跡と建物。見学中ずっと、我々以外誰も客が居なかった!世界遺産はいくつかテーマのようなものがありますが、ここは”先史時代の遺跡”に分類されるかと思います。紀元前 4000年~3000年、中央アジアにおける人類の定住の歴史を表す遺跡ということで、これくらい古い遺跡は世界遺産でも珍しい部類。古い=割と素朴なものを見ることになります。

こちらは厨房?人々の暮らしのあと
住居っぽい一角

サラズムは中央アジア最古の都市と考えられているようです。日本の世界遺産だと、紀元前13,000年から紀元前400年の遺跡が登録されている、“北海道・北東北の縄文遺跡群”の時代と重なります。国土の9割が山岳地帯というタジキスタン、遺跡も基本的には土の大地の中に残されています。併設されているミュージアム(新しいらしいです)では、ここで発掘されたという王妃の埋葬状況や、出土品などが確認できます。

卵型に埋葬されていた王妃
全体の復元模型。奥に見えるこの施設のトイレは快適だった!
博物館。外壁の写真は大統領
立派な門(でも観光客は誰も居ない)

ルーダキー歴史博物館

次に訪れたのは、恐らくパンジケントの繁華街にあると思われる、ルーダキー歴史博物館(Republican Museum of History and Local Lore of Rudaki)。こちらも新しそうな建物。「ペルシア文学の父」と言われているらしいルーダキーさんの博物館兼、この地域の歴史などに関する展示。タジキスタンでは至るところで大統領の写真を見かけます。この博物館でも、最初のサラズムの博物館でも写真を見て、立派な眉毛が大変印象に残りました。そして今年の7月、関西万博のタジキスタンブースの展示で、再び大統領の立派な眉毛を見たとき、懐かしい人に再会した気分になりました笑

中は写真NG。歴史&民族博物館という雰囲気

3国合同世界遺産、シルクロード:ザラフシャン=カラクム回廊

続いてもう一つの世界遺産、2023年にタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン合同の世界遺産として登録された、シルクロード:ザラフシャン-カラクム回廊(Silk Roads: Zarafshan-Karakum Corridor)の構成資産である、パンジケントの古代都市(Ancient Town of Panjakent)へ。個人的にはこのツアーで一番見てみたかった場所。こちらも、他に観光客の姿はなし。頑張れ、タジキスタンの世界遺産!

土の中にきれいに残る建物
寺院などもあるらしい

5~8世紀に築かれたソグド人の都市ということですが、サラズムより新しい時代になるので、同じ土の中とはいえ住居や寺院など、きれいな形で残されています。ここから見える山とパンジケントの街並みも良い。ガイドさんも、自分んちはあの辺だよ~と教えてくれました。

一面茶色い
現代のパンジケント

次も同じ世界遺産の構成資産である、ムハンマド・バショーロ廟(Mausoleum of Mukhammad Bashoro)。マザリシャリフという小さな村にあります。あまり修復しすぎずに残しているらしく、古い部分や何もない白い漆喰部分が混在しています。11世紀か12世紀頃に、イスラム学者ムハンマド・バショーロさんに敬意を表して建てられたとのこと。外壁も足場に囲われてしまっていてもったいないけど、金の屋根が美しいです。

金屋根が可愛い!
入口の装飾

中にあったのは長~い棺(もしくは棺に見えるもの)。人間の長さとしてはあり得ないですが、昔中央アジアでは、埋葬した人の骨が100年ごとに成長するという言い伝えがあったようで、それにより棺を長くしているお墓があるようです。時間がなくて行けなかったですが、サマルカンドのダニエル廟には長さ18mの棺があるということで、この長い棺も同様の意味を持っているのかと思います。

中には支柱のような木の棒
長~い棺
ドアの装飾
天井中心部の組み木?が素敵

ここからも、周囲の山の風景が見事でした!微妙にグランドキャニオンの雰囲気にも似ていて、なぜだかアメリカっぽい。帰り道、ザラフシャン川の流れが見えるスポットにも連れて行ってもらいました。この川が、乾いたタジキスタン山岳地帯の恵みの水なのでしょう。やはり水のあるところに文化アリです。

タジキスタン
タジキスタンの山々、なぜかアメリカに見える
雄大な流れ、ザラフシャン川

タジキスタンでの食事

食事込みのツアーだったので、途中で地元のレストランに連れて行ってもらいました。2種類のメニューからプロフを選択。基本的にはウズベキスタン料理と近いものなのだと思います。パンジケントでは観光客という存在がレアなようで、東アジア人女2人という我々は、街なかの人が多いところではそれなりに視線を感じました。メキシコではこのパターンでなぜか、一緒に写真を撮ってくれと頼まれることもありましたが、タジキスタンの人々は遠巻きに眺めているような印象でした。

タジキスタンでもプロフを食らう

タジキスタンのお金をまったく持たずに来ましたが、市場などに立ち寄ることもなかったため、特に困ることなく半日過ごせました。短い時間ながら新たな国を経験できて良かったです。帰りも徒歩で国境を超え、行きと同じ寡黙な弟さんに拾ってもらって、無事サマルカンドに帰還しました。

サマルカンドからのタジキスタン1日ツアー、時間がある方はぜひ、7つの湖を巡るツアーなども含めて検索されることをお勧めします!ウズベキスタン旅行プランとコスト編、タジキスタンツアーの出発点となったサマルカンド編もぜひご覧ください。

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