[世界自然遺産] 白神山地 ブナ林散策道を歩く

寒くなってきて、すっかり秋ですね。秋は気候も良く、旅行に最適なシーズン。特に美しい紅葉が見られると嬉しいです。数年前の10月中旬、紅葉し始めの白神山地に行きました。見どころや公共交通機関での行き方などについて、まとめます。

目次

世界自然遺産 白神山地(青森県、秋田県)

白神山地の世界遺産登録基準

日本が世界遺産条約に加盟したのは1992年。白神山地は、1993年に登録された日本初の世界遺産のひとつです(同時に登録されたのは自然遺産の屋久島、文化遺産の法隆寺と姫路城)。世界遺産には10個の登録基準があり、そのうち自然遺産に関するものは7~10個目の4つ。白神山地の登録基準は9の“重要な生態学的/生物学的過程を代表する顕著な見本”です。日本の自然遺産の多くが、この基準により評価されています。

白神山地のブナ林は8000年ほど前から存在したとされており、立地や地形の厳しさから、大規模な伐採や開発を免れ、原始的な姿のまま残されています。ヨーロッパにもブナ林の世界遺産(カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林)がありますが、現在の分布域に達した時期としては白神山地の方が早く、歴史が長いそうです。固有種を含む多様な植物や貴重な動物など、ブナ林がもたらす豊かな生態系も評価されています。

世界遺産の登録においては、重要な中心部である”核心地域(コアエリア)”、その周囲の”緩衝地域(バッファーゾーン)”が明確に区別されています。特に自然遺産の場合、コアエリアは足を踏み入れるのも難しいような、自然豊かなエリアが設定されていることが多いです。白神山地においても、コアエリアは歩道なども整備されていない山そのものという部分になり、一般の人が観光で立ち入るエリアは、基本的にはバッファーゾーンに含まれています。私が訪れた“世界遺産の径 ブナ林散策道”は、その中でも特に歩きやすい、もっとも観光向きのエリアですが、十分に雄大な自然を体験できました。

公共交通機関での行き方

地方は車がないと行きづらい場所も多いですが、ペーパーゴールドの私は公共交通機関一択。白神山地までは弘前からバスで一本で、意外なほど行きやすかったです。

  • 交通手段:弘南バス 白神ライン(6月~10月頃の期間限定運行)
  • ルート:弘前バスターミナル or 弘前駅 ~ アクアグリーンビレッジANMON
  • 時間:1時間10分(時刻表

服装・持ち物

ブナ林散策道の持ち物や注意点については、アクアグリーンビレッジANMONのページをご参照ください。さらに奥の暗門渓谷ルートに行く場合、通行届が必要だったり、ヘルメットが推奨されていたりと、少し難易度が上がります。

私が行ったときは暗門渓谷ルートは通行不能となっていましたが、山の装備を何も持っていないため、もともとブナ林散策道のみに行く予定でした。ジーンズ+スニーカーという軽装でしたが、足元に気をつけて転ばなければ、そのくらいの軽装備でも歩けます。もう少ししっかりした装備の方が、もちろん歩きやすくて安全です。2時間程度で戻ってこられる道のりですが、飲み物に加えて小腹対策の食べ物を準備しておきました。

世界遺産の径 ブナ林散策道

出発点、アクアグリーンビレッジANMONに向かうバス(白神までほぼ直通で行くけど、車体は路線バス)から、岩木山がきれいに見えました!アクアグリーンビレッジANMONは宿泊施設などもあり、この辺りの観光拠点になっているようです。

青空に映える岩木山
世界遺産記念碑

バスを降りたら暗門川の橋を渡り、ブナ林散策道のスタート地点へ。こちらのページの地図でルートを事前に確認し、大回り小回りを両方歩くルートにしたので、1時間半~2時間程度の所要時間。歩き始めてすぐに、清々しい木立に囲まれます。

木々と苔の緑
少しだけ紅葉

倒木や切り株に、苔など他の植物が生えているのも、まさに自然の循環という感じ。

小さい芽みたいな植物も
苔の緑が映える

清々しい山の中、自分以外ほぼ誰もいません。当時まだ新型コロナの自粛モードでしたが、もはやマスクも不要。ひさびさに爽快な気分で歩けました。可愛らしいキノコや、地図に載っていた熊の爪痕など、こまごま見どころも。今年は各地で熊被害が発生していますので、白神山地の状況や対策については、最新の情報をご確認ください。

散策道にはみ出す幹
キノコ!
熊の爪痕

キノコはあちこちで見かけました!まったく何か分かりませんが、色んな種類があります。

マッシュルーム風
赤いキノコ
カラフルなキクラゲ風

苔に覆われた倒木の朽ち果て感も良く、ついつい見入ってしまいます。そしてところどころに出てくる沢の、水の透明度が高い!

沢というか小川なのか?横切って進む箇所が時々あるので、滑らないように注意です。

散策道に沿った沢
木に這うツタも素敵
鮮やかな実!

山の中で木に囲まれていると結構暗かったりしますが、その分差し込んでくる光が非常にきれい。

見上げたら少し紅葉
逆光に透ける葉

ちょうど2時間ほどかけて、スタート地点まで戻ってきました。最初から最後まで本当に清々しい。

バスの本数が少ないので、時間までアクアグリーンビレッジANMONの近くも散歩しました。山の手前にある建物がセンターハウスで、お土産なども売っています。この近辺の方が紅葉が進んでいるのか、きれいに色づいた木が見られました。帰りも白神ラインに乗って、1時間少しで弘前まで無事帰還です!

アクアグリーンビレッジANMON
散策道以外の紅葉も良い

緑のブナも良かったですが、やはり一面黄色に色づいたブナ林も見てみたいです。散策道までであれば、気軽に行けると分かったので、いつか紅葉のピークを狙ってまた行きたいです。

目次